今回は、かなりの私事ですが、なのですが!
あまりにも、小菅村にとって久しぶりのことで、村を挙げてのお祭りのようになったので、記事にさせていただきます。
単刀直入に書くと
「わたし、結婚しました」
新郎の私は、もともと愛知県出身。
新婦の妻は、埼玉県出身。
お互いがまったく縁のないところからやってきて、小菅村で出会って、このたび、村はじまって以来の移住者同士の結婚ということになりました。
村を挙げて、と書いたのには、わけがあります。
まず、結婚式自体を、村でやるのは何年ぶり?わからないくらい久しぶりということ。
だからこそ、とにかく村の人みんなが見に来てくれるくらい盛大にやろう!と思って、実際に村の1/4くらいの人が来てくれていたこと。
そして、結婚式+披露宴をすべて手作りでおこなったということ。
だいたい村の人が結婚式を挙げる時は、東京とか甲府とか、大きなところのホテルを借りて…が一般的なのですが、移住者同士、縁あって村で出会い、村の人に支えてもらって育んでこられた縁だからこそ、絶対に村の中でやる!と決めました。
そんなわたしたちの結婚式のテーマは「村で、みんなで、手づくりで」
結婚式の会場として使わせてもらった場所は、新婦が学生時代に植物の調査で訪れていた栗林。ここで植生調査や卒論研究をおこなったことが、ひとつのきっかけになって小菅村へ移住しました。
ある意味では小菅村と繋がることができた場所を、ふたりでの出発点の原点にしたいと考えて、地権者さんに理解をもらって、なんでもない栗林を結婚式会場に変えたのです。
変えるのは、もちろん自分たち。
プランナーさんなんて、いません。
もっといえば小菅村にはスーパーも、コンビニもない、そんなところです。
だからやると決めたら、自分たちで何とかするしかない!
移住者の私たちが結婚式を小菅村の中でやることのひとつの目的は、恩返し。
その恩返しの方法は色々とあると思いましたが、私たちがこういう取り組みをすることで、マスコミ等を通じて小菅村の名前が世の中にドーンと出れば、それもまたありでしょう。ということで、結婚式をすることをひとつの「村おこし」にしてみよう!という流れでプロジェクトが始まりました。
プロジェクト、なんて大げさかもしれませんが、私たちだけではやれないことはわかっていたし、いろんな人のアイデアで築いていけることを理想としていたので、同じように小菅村内外で、地域を盛り上げようとしている若者や、協力隊同期、役場職員や友人に一緒にやろう!と声をかけると、うれしいことに、同じように「変わり者」が集まってくれました!
こうして、「村で結婚式盛り上げ隊」なるものが編成され、いよいよプロジェクトが始動していったわけです。
盛り上げ隊は、会場設営、司会、音響、皿運びなど、なんでもやってくれました。
「手づくりで」というコンセプトに沿うものがたくさんありましたが、ここではほんの一部だけ書きますと
・新郎新婦の衣裳
・会場の飾り付け
・お料理
・花飾りと花飾り用の花かご
・ウェディングケーキ
新郎新婦の衣裳も、この日のために手作りしてもらいました。
新郎は、小菅村内で家内産業的におこなっていて、ものすごい手先が器用で縫製が得意なおばちゃま方にベストを。
新婦は、村に移住してから仕事で出会ったドレス作りをしている方に、自分だけのオリジナルのウェディングドレスを。
会場の飾り付けとなる、ガーランド(三角旗)とお花紙で作るポンポンは、村のみんなに係わってもらいたいと思い、社会福祉協議会のデイサービスや活動に参加する村のお年寄りに呼び掛けて、社協職員さんと共に作ってもらいました。
料理は、村の調理室を借りて、友人のシェフを呼んで、村の食材をベースにして、村の人が食べたことが無いような新しい料理を作ってもらい、立食形式で提供しました。
会場に飾るお花も、村に一軒だけある花屋さんに頼み、その花瓶には、村で20年続けている竹や木を使ってカゴを編む倶楽部の皆さんにお願いし、この日のためだけに、特注のデザインとサイズで編んでくれました。
ウェディングケーキは新郎母の手作り。これもか!と思わせるくらいに、手づくりにこだわってみたかったのです。
式場に頼めばそれで叶うことだけれど、村でやるとなると、村だからできることをとにかく取り入れようと思いました。そして、そこに2人らしさを入れられたらな、と。
いろんな人が来てくれるからこそ、小菅村の文化や味、風情を感じられる結婚式にすることで、来た人は村の魅力を知ってくれるし、村の人は、今一度村の魅力に気づいてくれるんじゃないかなって。
栗林に敷いたバージンロードは、村の木でもあるヒノキ。
とにかく村らしいエッセンスを。
会場への登場は、田舎らしく軽トラをデコレーション。
参列者には見えないところから、これに乗って登場したので、見えた瞬間、会場からは笑い声と歓声があがっていました。
ふたりとも全く縁のないところから、田舎が好き、小菅が良いと思って、移り住んじゃって、出会っちゃって、結婚までしちゃって。
ここまでいけば、どっかに小菅村との縁があったんじゃないかとすら思います。
小菅が好きだと思うからこそ、面白いことをやって村を盛り上げようという思いも強いのだろうし、伝えたい、残したい文化や心意気というものに目が行き、いろんな人のチカラや知恵を借りて結婚式をすることができました。
幸せな気分に浸れる一日でありましたが、同時に、こうした機会によって一度立ち止まって支えてくださる皆さんに「ありがとう」と言えることもまた、移住者としては幸せなことでした。
一生に一回のこと(たぶん)だからと、盛り上げ隊のみんなも、自分の時間を削って手伝ってくれたことが嬉しく、ただただ移住してよかったという思いでいっぱいでした。
とかく高齢者が多く訃報ばかりの村に、一閃の光を灯せたような気がします。
やってみれば村だからできることはたくさんあって、村じゃなきゃできないことも、村らしいことも、たくさんありました。
持ち寄った村の魅力を、集った村の人が「小菅村もまだまだいいものいっぱいあるじゃん」と思ってくれれば、こんなに嬉しいことはありません。
そうやってみんなで分かち合えると、村が、またひとつ元気になるきっかけになるような気がします。
移り住んでよかった。
村や地域を元気にすることをしていきたい。
そんな思いを強く固めなおした日にもなりました。
みなさんのおかげで、絶対に一生忘れられない日になりました。
この結婚式の様子はテレビ朝日系列 毎週日曜夜18:30~「イチから住」 6月7日放送分にて放送される予定なので、ぜひご覧ください。
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団体名称
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代表者氏名岡本 淳美
この団体について
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団体名称
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代表者氏名岡本 淳美